− 偽りの笑顔 −









「はじめまして、キラ・ヤマトです」



春──新学期、俺のクラスに転入してきた、キラ・ヤマト。
初めはクラスの誰とでも話して、誰とでも仲良くできて、俺とは正反対な性格だ、と思った。
だから、俺はキラ・ヤマトが大嫌いだった。


でも、本当は違ったんだ。


キラ・ヤマト、彼が転入してきて半年が経った。
彼はいつも、何人もの友人を引き連れている。
勿論、男女問わず。
彼は誰とでも仲良くできて、誰からも好かれていた。
でも、以前のような彼に対しての嫌悪感はなくなった。
何故かって、彼の本当の姿を知ったから。





俺は情けないことに、一学期末のテストで赤点を取り、放課後の補習授業に参加していた。
補習授業は遅くまで続き、東の空が藍色になる時間になってやっと終わった。
腹が空いていたので、俺はもの凄いスピードで自転車のペダルを回していた。
家の近くの公園を抜ければ、すぐに家につくので公園を抜けようと少しスピードを緩めて曲がった。
スピードを緩めたからか、一人の人影が見えた。
公園の端にある鉄棒の棒に腰掛けている。
暗くて誰かはよく分からなかった。
でも、服装は俺の通っている学校の制服だったから、気になって止まった。


「そこにいるの‥誰?」


誰かわからないけど、その人が鉄棒の棒から降りた。


「え‥?」
「その声は、キラ・ヤマト?」
「うん。そうだよ、君は?」


彼の声は、普段よく聞くのですぐにわかった。
でも、彼はボクと一度も話したことがなかった。
だから分からなかったのだろう。


「ヤマトと同じクラスのシン・アスカ」
「あっ、アスカ君か!」
「うん」


俺が街灯の下に辿り着いたから、俺が誰だか彼にもわかったらしい。
嬉しそうに、駆け寄ってくる。
いつもの笑顔。
まるで作ってるような笑顔。
俺はその顔があまり好きではなかった。


「どうして、アスカ君がこんなところにいるの?」
「シンでいいよ。俺の家すぐそこだから」
「そうなんだ!僕のこともキラでいいからね、シン君」
「わかった。で、キラはどうしてここに?もう暗いよ?」


彼はうん、と言って俯いた。


「どうしたんだよ?家の鍵忘れたとか?」
「何もないよ」


彼はまた笑った。
俺の嫌いな作った笑顔で。


「あーもう!頭くる!!」
「え?」
「だから、無理して笑うこと無いじゃん?キラってなんか‥いつも無理してる。馬鹿じゃん!」
「そうかな‥?」
「ほら!またそこで笑う!普通、今のところでは怒るもんなの!」
「怒る‥の?」
「キラは学校で、ずっと笑っててさ、でもそれは心の底から笑ってるって感じじゃなくて‥‥」


そう、彼は心の底か笑ってないのだ。
悲しい時は泣けばいいし、怒りたくなったら怒ればいい。
なのに、彼はいつも笑ってる。
笑ってるだけじゃ、何もわからない。
本当の彼を見れてないような気がするんだ。


「って──俺は何言ってるんだ!?」


すると彼は、ぷっと笑った。


「何笑ってるんだよ!?」
「だって、シン君‥いつもと全然イメージ違うから」
「え‥?」
「シン君って無口でいつもムスッとしてて、近寄りがたい雰囲気醸し出してたから」
「まぁ、キラみたいにみんなとは仲良くできないから‥‥」
「でも、大切な友達いるよね?僕には大切な友達‥ここにはいないと思うんだ」
「どういうことだよ?」
「ここに来た時に、仲間外れにされたくないと思っちゃって、本当の自分を出し切れてなかった」
「本当の自分?」
「そう、シン君の言う通り泣いたり、怒ったりとか、いつも笑ってばっかりで、そう言うイメージついちゃって」


彼の瞳には、涙が溜まっていた。


「笑ってばっかりだと、やっぱり疲れちゃうし、だから偶にこの公園で一人でボーっとしてるの」
「そっか、邪魔しっちゃったな」
「ううん、シン君に聞いてもらえてよかった」
「え?」
「もう少しで、自分を見失っちゃうところだった」


この時急に心の奥底が熱くなった。
その熱に動かされるまま、俺は動いていた。


「大切な友達がいないって感じるんなら‥俺がキラの大切な友達になっちゃダメ?」
「え?」
「悲しいこととか、辛いことがあったら、ここに来て‥なんでも聞くから」
「シン君‥」
「本当のキラをちゃんと見るから!」
「ありがとう‥」


そう言い、彼は俺に抱きついてきて、泣いた。



満天の星の下──
星達の淡い光と、街灯の強い光の下で、彼は泣き続けた。
そして俺は、彼の思いを全て受け止めた。



















雪月涼様から頂きました、「偽りの笑顔」です!
キラが無理をして笑っている事を見抜くシン君・・何だか涙を誘われました。
前作のSEEDでも、キラは無理して笑ってましたから尚更・・・。
ちゃんと本当の自分を見てくれる人がいるというのは良いですね(感涙)
これから始まる二人の関係に大きな期待を抱けますv
素敵な小説を本当にありがとうございましたっ!




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