+一緒に+









「なぁ、キラを知らないか?」


アスランは、たまたま見かけたルナマリアとレイにそう声をかけた。


キラ、とは。
伝説のフリーダムのパイロットである。
今までパイロットのことで明るみに出ていた部分は少しもなかったため、ルナマリアは彼の儚いイメージに驚いた。

まぁ、それは余談で。

現在、このミネルバにはそのキラが滞在していて。
アスランの親友・・・というか、むしろアスランが保護者に見えるのだが。
彼はキラを大切そうにしている。
それが余計にシンは気に食わないんじゃないかなぁ・・・なんて思いつつ、あえて言わない。


「見てません」


レイが答えた。
アスランは明らかにがっかりしたように「そうか」と言った。


「部屋にいなかったんですか?」


一応、彼にも部屋は与えられている。
ルナマリアの質問に、アスランは短く肯定を示した。


「・・・シンも、なんですよ」

「え?」


実は、シンも部屋にいないのだ。

彼は突然にキラに銃を向け、キラに負傷させた。
そのため、武器類の所持は命令で禁止されたが・・・


「・・・まさか、な」

「・・・まさか、ですよね」


アスランとしては、キラが殺されるなんて考えたくもないし。
ルナマリアやレイからしても、シンが処罰されるのは見たくない。

そこへ、ヨウランとヴィーノがやってきた。


「ルナマリアー、レイー」

「シン見つけたぜ」

「本当? どこ?」

「・・・それがさぁ・・・」

「うーん・・・説明するより見てもらった方が早いかも・・・」

「あ、アスランさんも一緒に」

「え・・・」


キラを探したいんだが。
しかし、押しに弱いアスランはついつい流されてしまう。

レイは、なんとなく二人がアスランまで連れて行く理由に見当がついて。
しかしそれなら大問題じゃないか、と思いつつ、焦る心を隠した。


二人が案内したのは、甲板へ通じるドアの前。


「ここで寝てるんだよね」

「起こせばいいじゃない」

「いや、それがさぁ・・・」

「もう、さっきからなんなのよ?」

「見れば分かるよ」


そう言って、外へ促す。


「ほら、これ」





・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。





そこには、壁に背中を預けて眠っているシンと。
そのシンの腕の中で眠っているキラがいた。


この二人が一緒にいるのは問題だ。
シンがキラを家族の仇として憎しみを抱いているから、そういう判断になる。

しかし、この状態は何だ?
この状況はなにがどうなってこうなった?

二人の寝顔は、とても安らかで。
とても憎むものと憎まれているものの図とは思えない。


「・・・な?」


ヨウランやヴィーノが言いにくそうにする理由が分かった。v どう言えばいいのか分からなかったのだ。


「・・・なにがあったの?」

「俺のほうこそ聞きたい」


ルナマリアの独り言ともとれる言葉に、アスランが呆然と返す。


「和解したのか?」


レイがそんな答えを導くが、ルナマリアが「まさか」と否定する。
あれだけ憎しみをぶつけていたのに、こうもあっさり和解できるものなのか。


「ん・・・?」


周囲の声に気付いたのか、シンが小さく声を上げて瞼を上げる。
そして、集まって自分に視線を向ける仲間たちに、眠いながら首をかしげる。


「どうしたんだよ、みんなして」


しかもアスランさんまで。


「・・・シン、それはあんたの腕の中のものを説明してから言って・・・」

「腕? ・・・あ」


気付いた、というより、忘れていたのだろう。
腕の中にいる存在のことを。

起こそうと彼の肩に手をかけて、動きを止める。


「・・・この人の名前、なんだっけ?」


おい。


思わず全員で突っ込みたくなった。
まぁ、仇としている相手の名前など、覚えておく必要もないかもしれないけれど。


「・・・キラだ。キラ・ヤマト」

「どうも」


簡潔に教えてくれたアスランに、簡潔に礼を返して、


「キラさん。キーラーさーん?」

「・・・ぅん・・・?」


名前を呼びつつ肩を揺すると、キラは眠そうに細く眼を開けて、


「・・・シン、くん・・・?」


とろんとした瞳のまま、シンを見上げた。
その表情に、シンの頬がかぁっと熱くなる。
色も赤みを帯びたため、それは仲間たちにも知れた。


「・・・なにごと?」

「・・・俺が聞きたい」


ルナマリアとアスランが代表として呟く。


「あの・・・アスランさん、来てますけど・・・」

「ん〜・・・?」

言われて、シンが指差したほうを見て、アスランを確認する。
が。

キラは再びぽてん、とシンに体を預け、


「・・・もう少し・・・」

「・・・甘えんぼ・・・」

「・・・いいんでしょ?」

「・・・俺じゃなくてアスランさんに聞いてください」


キラは再びアスランを見て、


「アスラン、僕もうちょっとシンとここにいるね」

「あ、ああ・・・」

「でも、そろそろ中に入ったほうがいいですよ」


レイが言って、シンも「そうだな」と同意する。


「キラさん、中入りましょう」

「・・・でも・・・」

「・・・じゃぁ、俺がキラさんの部屋行きます」

「!?」


アスランがその言葉に反応する。
しかし、彼がその気持ちも言葉にする前に、


「本当?」


嬉しそうにするキラがその場を支配した。

キラが立ち上がって、シンを促す。
呆然としている彼らの隣を通り過ぎていく。
レイとすれ違うとき、シンが、


「じゃ、俺今晩キラさんとこ泊まるから」

「・・・ああ」


なんだかよく分からないが、ともかく殺す気はないらしいと判断し、レイはそう返事をした。
二人の足音すら聞こえなくなってから、


「・・・だから、なにがあったの・・・?」

「・・・キラぁ〜・・・」


事情は、当事者たちだけが知っている。



















朝比奈ゆーり様から頂きました、「一緒に」です!
ア、アスラン・・・ではなく(苦笑)、何気に仲良しさんになっている二人がvv
突然変わった二人の関係に振り回されている?他の面々も面白かったですv
素敵な小説を、しかも4作もっ・・本当にありがとうございました!




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